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 先日の記事では、タイ国鉄に乗っていて通り過ぎただけだったが、数年後再訪できた街のことを記した。しかし、再訪できていないところは多い。いや、むしろ再訪できるほうが圧倒的に少ない。

 この写真は、そんな「通り過ぎただけでそれっきりとなっているが、行ってみたいところ」の一つだ。場所はタイ北部のウタラディット県、シラーアット駅(最後のトはほとんど発音しない)。

 バンコク方面に一駅行くと県名と同じウタラディット駅がある。車窓から見ている限りでは、ウタラディット市街の北の外れにシラーアット駅、南の外れにウタラディット駅が位置しているようだった。タイ国鉄ではこういった地方都市の両端に二つの大きな駅があるのは珍しい。後に調べてみると、ウタラディット駅が手狭になったことから、当駅が開業されたとのことだ。

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 だいたいこの駅より北のチェンマイ方面は北部の山岳地帯で、山々を縫いながら曲がりくねった鉄路が敷かれている区間となる。これより南は平野が多く、鉄路もまっすぐに敷かれているところが多い。そういう意味では、この辺りが山岳民族が多く住む地域との境目となるのかも知れない。得てしてそういうエリアでは文化が混じりあった様相が見られたりする。

 私が行ってみたいと思うのもそんな理由だ。もちろん私の単なる当て推量であるから間違いかも知れないが、行ってみて間違いだったらそれでもいい。間違いだと知ることも大事なのだ。書いてしまうと大層な感じになってしまって恐縮だが、学ぶということの具体的な行為の大半は、推論を立て、その実証を行い、実証結果を元に新たな推論を立てる、ということ繰り返しだとも思える。

 ちなみに、鉄道の世界だけの話をすると、このシラーアット駅は明確な境目の駅である。この駅が始発・終着となる列車もあるし、経由していく列車の一部は、この駅でディーゼル機関車の給油や山岳地帯用の機関車への交換、あるいは客車の増結・解結が行われたりもする。
 またタイ国鉄の北線は、アユタヤーより少し北のロッブリー駅より終点チェンマイまで、ずっと長い単線区間であるが、このシラーアット駅で閉塞方式が切り替わる。

※閉塞とは
 鉄道ファンには当たり前のごとくご存じの通りのことだとは思うが、ご存じない方にもわかるよう端的に説明しておく。ただし細かな説明は省くため乱暴な表現や齟齬が存在する可能性はあるので、興味がある方は調べてみて頂きたい。

 閉塞、文字通り「閉じて塞ぐ」のであるが、何を閉じるのかというと、列車が走っている線路を他の列車が入れないように「閉じて塞ぐ」。列車は見えてからブレーキをかけたのでは間に合わないが故の、衝突を防ぐ仕組みである。

 最初期からある一番単純でわかりやすい方式は、物理的に通行証のようなもの(=通票)が特定の区間に一枚だけあって、その区間の入口の駅で通票を受け取る。通票がなかったら、他の列車が持って行っているから、入ることができない。通票を持っている列車だけがその区間を走ることができる、というもの。

 近年では上述の方法ではあまりに運行できる本数が少ないのでロジックも工夫されて複雑になっており、また人手を介する物理的な方式ではなく、多くが自動閉塞化されている。様々な方式があって、ここでは詳細は書ききれないので割愛するが、信号機を切り替えるロジックはこれらの定まった閉塞方式に則ったものである。


何の話をしているのかわからなくなってきてしまった。とりあえずはこのへんで…。

【写真】2008年2月
【文章】2017年2月
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