過去の旅行写真の中には、どこで撮ったのかわからない写真も多くなった。たくさんの旅をしていて記憶が錯綜したり、歳のせいで薄れてきているということもある。
銀塩カメラの頃はタイムスタンプなんてなかったし、フィルムや現像も高額だったので写真数も圧倒的に少ないが、それだけに場所がわからない写真については特定するためのヒントも少ない。
デジカメになったらタイムスタンプなどからおおよその場所はわかるのだが、今度はやみくもにパシャパシャ撮っているものも多くなり、どんな状況やタイミングで撮ったのか印象に残っていない写真も多くなった。
以前にもこのような過去の記憶を辿る記事を書いたが、最近そういった場所が特定できない写真の場所を、色々な手がかりから探すのに凝っている。備忘録にもなるし、一種の推理・謎解きゲーム的な楽しさもある。
[過去参考記事]
- スコータイ郊外の黄金の大仏と旅の記憶の辿り方
- 『上海のどこか』の写真も特定できてしまう
- 2001年アユタヤー郊外の写真の記憶を辿る旅と新たな高度情報化の妄想
- ロンドンのロイヤルアルバートホール …もうグーグルマップとストリートビューがあれば旅の写真は要らないんじゃないかと…
さて、今回は上の写真。正直どんなシーンでこの写真を撮ったのかは忘れている。ただ、前後の写真とタイムスタンプから、マハーサーラカームで撮られたことは間違いない。マハーサーラカームはタイ東北部(イサーン)に位置する同名の県の県都である。
視点位置が若干高いことから、恐らくバスの車窓から撮ったのではないかと思う。バンコクを除けば、タイで歩道橋なんてものはほとんど見られないかった。もしあったとしても、炎天下の階段昇降を苦なので、みんな道路を横断するに違いない。今ではどうかはわからないが、少なくとも当時はそうだった。
タイの地方都市においてバスといえば中長距離バスである。日本で言う市バスのような市内を走るコミューターのバスは、バンコク以外では見ない。つまりバスの車窓から撮ったということは、長距離バスが通るような道路、つまり街を貫くような幹線道路である可能性が高い。
7-elevenが見えるので、まずはGoogle Map上で検索してみた。マハーサーラカームの街にあるいくつかのセブンイレブンが表示される。ストリートビューで確認してみたが、すべて違うようだ。検索にヒットしない店舗もあるかも知れないし、廃業したり移転したりすることもありうる。
次に注目したのが道路の広さだ。マハーサーラカームはそんなに大きな街ではないし、中央分離帯がある片側二車線の道というのはそう多くはないはずだ。そこで、まずは街の中心付近にあるロータリーを探す。
以前にも書いたことがあるし、当ブログの過去記事でも色々な町のロータリーを紹介してきているが、タイの街に於いては街の中心などに大きなロータリーがあることも多く、街歩きに便利なランドマークになったりする。
Google Mapで条件にあうような街の大きなロータリーはすぐに発見できた。そこから放射状に延びる道のうち、中央分離帯のある片側2車線の道を探してストリートビューで辿ってみる。すぐにそれらしい場所を発見することができた。
セブンイレブンや手前の薬局(ขายยา)の看板、それに道路右側の青い屋根の建物、街灯の形も一致しているので、間違いないだろう。
やはり10年近い時がたって、景色はやはり若干変わっているようだ。薬局の看板もずいぶん古ぼけて文字も薄くなっている。だがなんとなく雰囲気が全然変わっていないように思えるのは気のせいだろうか。
というような感じで、最近遊んでいます。備忘録のためでもあるのでシリーズ化してしまおうか、と思ったりもしますが、完全に自己満足の遊びなので、他人が読むのに面白いものではないような気がして悩みます。
【写真】2007年5月
【文章】2017年7月