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 なんだか前衛的なデザインのビルが視界に入る深圳の駅付近。駅ビル自体も巨大だ。中国の駅とか博物館とかは、なぜか巨人向けのサイズで間違って作ってしまったのかと思うような、とにかく巨大な造形になっている建物が多いように思う。

 日本の企業もたくさん市内やその周辺に進出しているので、ご存じの方も多いかも知れないが、深圳は中国の中でも北京・上海・広州と並ぶ省級都市である。日本の単位や規模とは違うのでイメージするのは少し難しいが、とりあえずは市でありながら省と同等の規模や権限を持っている、とご理解頂くのが良いと思う。ちなみに深圳市の人口は東京都(23区だけでなく都全体)の人口を軽く凌駕している。

 香港がまだ中国に返還されていなかった頃、その境目の中国側にある深圳は、国境の街として栄えた。国境の街はやはり人材や物資が行き交う要所なのだ。

 香港が中国に返還されたら、深圳は国境ではなくなるので、そのまま廃れるのではないか、と1990年代の一時期に噂されたこともあったような気がする。しかし実際は返還後もそうはならず、都市は膨張し続けた。一国二制度を維持したことがそれに寄与したのかも知れない。歴史にたらればはないので、そうしなかった場合どうなっていたかはわからないが。

 まぁともかくも、深圳は今も新しい高層ビルが立ち並ぶ大都市だが、この写真も思えばもう10年前に撮ったものなのだ。当時、どんどん新しいビルが建っていく中国の中でも、やはり上海、北京、深圳といった大都市は別格で、中国のほうが日本よりも経済先進国なのじゃないかと思えたものだ。実際、この写真から数えて2~3年後、中国はGDPでは日本を追い抜き、世界二位の経済大国となる。

【写真】2007年3月
【文章】2017年7月
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