2005_0320_140204AA

 古くから栄える蘇州の名刹、寒山寺。蘇州城西の古い運河沿いにあるこのお寺には、文化的価値も高く、見どころもたくさんある。

 この寺の仏書を収蔵していた蔵経楼の屋根に、『西遊記』の一行、三蔵法師、孫悟空、猪八戒、沙悟浄の彫刻像がある。

拡大
2005_0320_140204AA - コピー

 西遊記は中国四大奇書の一つに数えられるが、その中でも比較的日本でも内容が知られているものだと思う。

 漫画『ドラゴンボール』でも当初は西遊記をモチーフにしており、主人公の名前もそこから取られているのは有名であるし、人形劇やドラマにもなっている。

 1980年以前の生まれの方だと、堺正章が孫悟空を演じ、ゴダイゴが音楽を担当したドラマが印象に強いのではないかと思う。私も子供の頃だったが、孫悟空が筋斗雲を呼ぶときの合図をみんなで真似たり、ワクワクしながら見たものだ。

 あの作品は独特の解釈や発想の面でも素晴らしかったと思う。本来男性であるはずの三蔵を夏目雅子が演じていたのがハマっていたり、馬を擬人化させるだけでなく人の姿を登場させたり。

 ただ素晴らしい作品であったが故なのか、後の作品に影響を与えすぎて、日本で作られる西遊記をモチーフとした作品が、なぜか三蔵は女優が演じ、馬は人の姿に変身できる、と二次創作の設定を引き継いだ三次創作みたいなものが多いように思う。原作への変な誤解を助長するかのような作品が散発されるのは、作り手の発想力が乏しいからのような気がする。

 元の壮大な話を原作としながら作品を作り上げるのであれば、三次創作ではなくて、そこに独自の解釈や独創性を持った二次創作が見たいものだ。三次創作では小手先のテクニックは進化していても、発想や独創性という本来創作に必要な部分が決定的に不足し、過去の作品を越えることは非常に難しいのではないかと思う。

【写真】2005年3月
【文章】2017年7月
にほんブログ村 旅行ブログへ