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 台湾第二の都市で南部の中心地である高雄の海岸沿いに、旗津と呼ばれる半島がある。幅が300mくらいで、長さが10kmを越える細長い半島である。ただし現代では陸地と切り離されてしまっているため、半島というより島である。高雄の観光スポットとしても名高い。

 この旗津半島の外海に近い岸辺は海浜公園となっている。長さ数kmに及ぶ細く長い長い公園である。この公園の片隅に、古びた舟が安置されていた。

 過去の記事でも紹介したことがあるが、この舟は台湾の離島、蘭嶼に住む原住民族ヤミ族のタタラ舟と呼ばれる漁船だと思われる。

 ただし高雄は台湾の西海岸(中国大陸側)であるが、蘭嶼は台湾の東側、太平洋に浮かぶ島であり、結構離れている。なぜここにこの舟が安置されているのかはわからないが、もしかしたら別の過去記事でも書いたような、土着文化への回帰運動の一環なのかも知れない。

 今ではどうなっているかはわからないが、少なくとも写真を撮った当時、状態が良いとはとても思えなかった。屋根も無く、潮風が吹き曝す場所ということもあるが、雑草だらけの場所に無造作に置かれ、風化してずいぶんサビも出ている。ヤミ族の人が見たら、さぞかし心を痛めることだろう。設置するなら、もう少し心配りがあっても良いのではないかと思ったりもした。

【写真】2011年8月
【文章】2017年12月
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