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 古い写真やネガを整理していると、どこで撮った何の写真なのか、覚えていないものもたくさん出てくる。デジカメが普及していなかった頃の写真なので、GPSによる位置記録どころか、タイムスタンプもない。

 ネガがなければ前後の写真さえわからないし、あったとしても当時はフィルムも現像もそれなりに高額で、そんなにパシャパシャ撮る習慣はなかった。若い頃はそもそも写真では伝わらないので、記憶しておけば良い、くらいに思っていたこともある。だから次の旅で前の旅の余りや、家族の使いさしのフィルムが入っているのをそのまま使うなんてことも普通で、ネガの前後の繋がりを見ても不明な写真は多々ある。

 この写真もそんな中の一枚である。正確な日付はわからない。ただネガをスキャンしたもので、前後を見る限りは、1995年頃に友人の車で新潟あたりにドライブに行ったときのものだと思う。確か春日山城址を暑い中ヒィヒィ言いながら登った覚えがあるので、夏休みだったかも知れない。

 何を意図して撮ったのか、今となってはよくわからない。たぶん車の中で何気なく撮った一枚だろう。さすがに場所はわからなかったが、手掛かりを探っていくと推定できてしまうものである。

 場所は恐らくここだ。(Googleストリートビュー)


 唯一、場所を表している手がかりは、左の電柱にある看板の『大池』である。新潟で昔から有名な大池と言えば、白鳥の飛来地として有名な大池だろう。看板が草臥れているのでわかりにくいが、どうやら下部の赤い矢印が左方向を示しているように見える。どうやら大池が左方向にあるらしい。

 そういう位置関係にある国道などの主要道を探ってみる。というのも、写真には信号機が写っているが、大池がある周辺は結構な田舎なので、幹線道路でなければ信号機のある交差点はほとんどないからだ。

 予想通り、そういった位置関係にある交差点は多くはなかった。だが同じ建物などの光景の共通点がある場所は見つからない。20年以上も経っているし、景色が変わってしまっても不思議ではない。

 決め手になったのは交差点の手前右端にある写真の赤い看板である。なんとなく見覚えのあるデザイン、恐らく昔のNational、松下電器のロゴではないかと思った。つまり電器屋さんか何かではないかと。そして候補となる交差点をGoogleストリートビューで見てみると、建物は変わっているがPanasonicの青いロゴが表示されており、確かに電器屋さんがある。

 更に見ると、写真左奥の緑文字の看板の後ろに見える青い看板は、車の修理工場などによく掲げられている車種が並んだ看板で、一番上は『アルト』と書かれているように見える。その修理工場と看板は今も同じ場所にあるのだ。

拡大
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 景色は大きく変わってしまっていても、やはり名残というのはあるものだ。以前からしばしばやっているのだが、やはりこの遊びは結構楽しい。もちろんその目的は今のところ自己満足でしかないが、もしご覧の方で同様の写真のお悩みなどがあればご相談頂く分には構わない。

※過去記事はGoogleMapやストリートビューで過去の記憶を辿るのタグの記事にてご覧になれます。

【写真】1995年前後、夏
【文章】2018年6月
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