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 中国河南省の開封市で見かけたちょっと不思議な外観のビル。

 写真は上層だけだが、屋上に中華風の寺院のような建物が乗っかっている。屋上の柵もそれらしいデザインだ。またビルの側面にもなぜか瓦葺きの庇やそれらしき意匠の柵が設けられている。

 中国国内で、ゴシック様式等の中世や近世の欧州建築と中国様式のデザインが混じった、いわば中洋折衷の建物はしばしば見かける。しかしこういった普通の現代建築に中華様式が混じっているのは面白い気がした。ただ近代建築に古来の伝統的な建築の外観を混ぜるのは、中国ばかりでなく日本でも多々見られることで、珍しいことではないのかも知れない。しかし旅行者の私からすれば、物珍しく映る。

 考えてみれば、例えば日本にお城はたくさん残っているが、以前の記事でも触れた通り、江戸時代以前に建てられた木造天守が現存しているのはいずれも国宝か重要文化財で、全国で十二か所である。逆に言うと、それ以外のお城の天守は、外装はお城でも中身は現代建築の技術が入っているものがほとんどである。また大きな建物だけでなく個人向け住宅でも、普通に欧米の現代建築の技術も取り入れつつ、木造の和洋折衷の建物を作っている。

 古典的な建築も興味深いが、こうやってグローバル化が進んで文化が混じり、それぞれの国の文化や環境などに応じて、現代建築が進化していくのを見るのもまた面白い。現代ではその速度が飛躍的に増しているせいで、移り変わりを目の当たりにできる。そんな時代に生きているのは、実は幸運なことなのかも知れないと思う。

【写真】2017年10月
【文章】2018年6月

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