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 紀元前の古代から使われている漢字の書体で、篆書体と呼ばれるものがある。現代において普通の読み物や文書に使われることはほぼないが、印章などでは今でも使われており、それらは特に印篆と呼ばれる。日本でも見かけることは多く、私の実印も篆書体だ。

 この篆書体は歴史が長いせいもあって、いろいろな派生形がある。私はあまり書体などには詳しくないが、写真の北宋時代の首府・開封府の印は、九畳篆という書体だと思う。一見すると迷路みたいで、なんと書かれているのかさっぱりわからないが、小篆と呼ばれる篆書の代表的な書体を基として、線を延ばしてぐにょぐにょと折り曲げたような書体である。それも念頭におきつつ見ると、なんとなく『開封府印』と書かれているらしきことがわかる。

 今の簡体字で育った中国の若い世代は、おそらくそういった推察もできなくなってきている可能性もあると思ったりする。確かに日本でも、昔の文献を読むにはある程度の知識も必要であるし、難しいことは変わりない。しかし中国の古い文献や岩に刻まれている文字、寺院に書かれている文言などで、台湾人や日本人が読めて意味も理解できるのに、中国人は読めない、ということが、おそらく増えてきているはずなのだ。

 言葉の変遷が良いのか悪いのか、私にはわからないし判断できない。文化が変われば言葉も変わるし、変わらなければ進化も進展もない。日本でも江戸時代より昔の人がタイムスリップしてきたら、同じ日本人としての意思の疎通が難しいくらい環境も常識も変わっていて、言葉も変わっているはずだ。ただ、もし『悪貨が良貨を駆逐する』ような形で、昔の歴史や知恵が失われたり、埋もれたりしていくのだとしたら、残念なことだと思う。

【写真】2017年10月
【文章】2018年7月

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