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 中国の名山であり世界遺産の泰山。標高は1500m程度であるが、古より宗教的な色合いも濃く、文化的な価値も高い。登る道の途中には、奇岩、道観、岩に刻まれた文字が点在しており、絶景ポイントも多々ある。実に多彩な表情を見せる仙境である。

 だが泰山で一番印象に残っているのは、永遠に続くかのような急階段かも知れない。現代では登山道もそれなりに綺麗に整備されていて、仙人でなくとも容易に登ることはできるのだが、長い長い階段を進むことになる。


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 これは少し小高い場所から遠くを撮ったもの。

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 一つ上の写真を撮った場所から、遠くに見えていた建物まで来るのに約1時間。私は健脚なほうだとは思うが、それでも一気に登るのは無理だ。

 ちなみに泰山のふもと、泰安の街からはバスが中腹まで出ている。バス停から歩いて登って、頂上まで約2~3時間だったと思う。

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 途中で段に座って休む人、ゆっくりと一歩一歩進むご老体、みんな励ましあって挨拶したり、にっこり笑いかけたりする。そういうのは世界共通の気がする。同じ苦労をしていることによる仲間意識や共感が為せる業なのだろうと思う。

 中国の他の名山でもそうだったが、結構サンダル履きや普通の革靴などで登っている人も多い。ヒール付きで登っているツワモノもたまに見かける。たぶん安全等に対する意識の低さもあるのだろうと思うが、反面に日本では自分なりの判断やスタイル確立の前に、先入観や形から入りすぎている部分も大いにあると思う。

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 実は、延々と階段を登らなくても、ロープウェイで頂上近くまで行くことができる。時間が無かったり、体力に自信がなければ、それも良いだろう。

 しかし個人的な考えとしては、こういった宗教的な意味合いを持つ山というのは、頂上への到達自体に意味があるわけではなく、登るという行為の中で様々な風物に出会ったり、苦労をしたりすることに意味があるのだろうと思う。

 ただし実際のところ、中国の名山ではこのようなロープウェイで登ってしまえるところも多い。確かに観光客としては、手軽に行けるようになってありがたい。手付かずな仙境を訪れることができたら良いのだが、もしバスやロープウェイ、登山道などが整備されていなければ、本格的な装備や高度な技術を要する山も多い。難しいところだと思う。

【写真】2014年8月
【文章】2018年8月

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