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 寺院に梵鐘すなわち釣鐘があるのは、日本でも中国でも同じだ。いや、東アジア全域で共通と言ってもよいはずだ。

 しかし国や地域で鐘の形状は少し異なったりする。例えば日本のいわゆる釣鐘型は幅が広くどっしりとした印象だが、中国のものは幾分スリムなものが多かったりと、各地で様々なものを見ることができる。鐘一つとってみても、色々興味深いものだ。

 また中国では仏教寺院でなく道教寺院も多いが、道教寺院にも梵鐘を見かける。元々仏教の梵鐘にはその音で苦疫を払う役割があるが、それらが道教と混じったのか、それとも道教では別の意味合いや役割があるのかは知らない。

 写真は四川省の青城山の上青宮で見たもの。青城山も古代灌漑施設の都江堰とセットで世界遺産となっており、古くからの道教の聖地である。道教の源流である五斗米道の祖、張陵が晩年にここで活動をしたと言い伝えられている。

 釣鐘の形が面白い。西洋風のベルやチャイムの形状を取り入れているようにも思えるが、鐘の上部は完全に中華風だと思えるし、表面には西洋ではあまり見かけない紋様や文字が並んでいる。いつの時代に造られたものなのかはわからないが、私の眼には新鮮にうつった。

【写真】2014年12月
【文章】2018年10月



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