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 カラバオといえば、恐らくタイで知らない人はいないほど有名なプアーチウィットと呼ばれるジャンルのバンドの第一人者である。日本の代々木公園のタイフェスティバルでも呼ばれて演奏したことがある。プアーチウィットについては日本に似たジャンルがないのでなかなか説明が難しいのだが、パンクロックとフォークと演歌が混じった音楽と言えば良いのかもしれない。

 私もVCDなどを多数所持しているし、タイの有名ビールのビアチャーンのCMの曲など、私が口ずさめるような曲もいくつかあった。

 エートはそのカラバオのボーカル兼ギタリストである。本名はユンヨン・オーパークンだが、エートカラバオ(カラバオのエート)の方が知られている。

 この旅の時は、とりあえずタイ東北部イサーンやラオスを放浪した後、バンコクに戻るのに鉄道が取れなかったので、コーンケンから飛行機で飛ぶことにしたのだった。

 コーンケンの空港はそれほど大きくはなく、人も少なくて閑散としていた。週末や繁忙期ではなかったこともあるだろう。そんな中でゆったりと飛行機を待っていると、エートカラバオがやってきて、同じ待合室で同じ飛行機を待つことになった。一目でエートカラバオとわかるファッションだ。

 写真を撮らせてくださいとお願いすると、快諾頂いた。背は思っていたよりもずいぶん低かったのだけれど、存在感があった。反社会的なスタイルにも見えるが、とても紳士的で物静かで、丁寧で笑顔が優しく、そしてとても良い香りがした。

 同じ飛行機であったが、席が近くはなかったので、搭乗時以降は見ていない。とはいえ、いわゆるレジェンドと言われるレベルの大スターでも、御付きの人に囲まれているわけでもなかったし、気さくな感じだったのが印象的だった。昔だったからなのか、タイだからなのかはわからないが、僥倖であったとは思う。

【写真】2006年5月
【文章】2019年2月
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