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 愛媛県新居浜市に別子銅山という鉱山がある。いや既に閉山しているので、あった、というほうが正しい。住友グループの礎となった鉱山である。この鉱山跡地の産業遺産は『マイントピア別子』として、テーマパークのような感じで開放されている。

 鉱山跡は麓のほうから広がっているが、そこからずいぶん山の上のほうにも遺産群がある。『東平』とかいて『とうなる』と呼ばれるエリアは、車や運行されているバスを使わないとたどり着けない。かつては鉱山開発の本部や多くの施設があり、従業員の社宅や学校・劇場まで作られ、小さな街を形成していたという。屋久島でも林業のためのかつての集落跡地を見たが、同様のものだろう。

 最近では東洋のマチュピチュなどとも呼ばれているらしい。私的には、日本にマチュピチュやらラピュタやらが増えすぎて若干辟易してはいるが、その売り文句は別にしても、それなりに見ごたえがあるのではないかと思った。そこで、とりあえずは車で向かってみることにしたのだった。

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 ところが残念ながら、東平に入っていくところの山道は通行止めになっていた。訪問したのは1月だったのだが、なんと冬季は閉鎖されているのだ。

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 確かに周囲を見回してみれば、少し高いところはもはや雪山のようになっている。

 まぁ、天気が良いのも悪いのも、季節が違っても、訪れたその時だけを切り取った表情しか見られないのが旅の縁である。通行止めになっているのもまた旅の縁である。

 冬のひんやりとした空気を感じながら、綺麗な空気と景色を楽しんだ後、引き返すことにした。またそのうち来てやるぞ、と思いながら。

【写真】2017年1月
【文章】2019年5月

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