こちらはタイの首都バンコク、チャオプラヤー川の西岸トンブリー地区にあるターディンデーン市場。それほど大きな市場ではなく、生鮮食品や日常雑貨などが並ぶ、庶民の市場だ。特に用事があるわけではなかったが、入り口付近から目を向けてみると、奥に中華風の廟のようなものを見つけた。
タイの市場で小さな祠や神棚のようなもので、タイやインドあるいは中華圏の神様が祀られていることは少なくない。だが、これほどしっかりした廟のようなものが市場の中にあるのはあまり見ない。なんだか違和感のある光景だと思える。
近づいてみると、本頭公と書いてあるように見えた。こんなところにも本頭公が祀られているのかと正直驚いた。
本頭公はインドシナ半島の華僑独自の神様であるが、当ブログで何度も紹介してきているので、ここでは詳細は割愛させて頂く。記事末尾のタグ「インドシナ半島の華僑オリジナル神・本頭公の廟を巡る」より関連の過去記事をご参照頂きたい。
こちらの本頭公は媽と対ではなく、公のみ。柔和なお顔と関公のような美髯が象徴的である。小さな廟で、本頭公像の造形もそれほど立派なものとは言い難いが、きちんと綺麗にされており、人々に大切にされていることがわかる。
どうやらバンコクにはこういった小さい無名の廟・祠、あるいは大き目の中華寺院の一角などでも本頭公を祀られたところが結構あるようで、今日ヤラワーからトンブリーまでフラリと散策しただけで、数柱の本頭公に出会った。これらもまた千差万別で面白かった。追々整理して紹介しようと思う。
【写真】2023年8月
【文章】2023年8月