この時は、ラオスの首都ビエンチャンから、メコン川に沿って東に向かっていた。サスペンションが草臥れて、よくガタンガタンと揺れるオンボロのバスだった。写真はビエンチャンから1時間ばかり揺られた辺りのはずだ。
今ではどうかはわからないが、当時は都市から少し離れれば、主要国道でも舗装に穴が開いてボコボコだったりするのは珍しくはなかったし、道の脇は赤土がむき出しだ。主要国道でさえそんな状況だから、国道沿いの村落といえども、道は舗装されておらず赤土が普通だった。
オンボロバスに乗っての長旅だったが、車窓から外を眺めていると、飽きることはない。日本とは違って風景の色合い自体が違う。そして風景も人々も素朴だ。
時々車窓からカメラを構えてみると、子供たちが人懐こい顔で手を振ったりポーズをとってくれたりもする。こちらからも手を振り返すと、はにかんだ様子で喜ぶ。そういえば私も子供の頃に、車やバスなどに手を振ったりして、それで手を振り返してくれる人が居ると、なんだか楽しくなったものだ。そういうやりとりは、昨今の日本では少なくなってきているような気もする。
【写真】2007年5月
【文章】2018年7月