最果志向 ~放浪家坂木さんの足跡~

この数十年の放浪履歴を元に思ったこと・感じたことなどを訪問者の目線で綴る『旅エッセイ』ブログ。たまに自作の音楽の紹介。

Nongkhai ノンカーイ

【坂木より】
2016年6月2日開設。現状一日1~2記事の更新です。皆様と『最果(さいはて)志向』と『漂泊の思い』を共有できれば幸いです。たまに昔作った音楽も公開しています。

ひたすら真っ直ぐな軌道

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 首都バンコクから夜行列車に乗り十数時間。

 朝がやってくると、タイ国鉄東北線の終点ノンカーイもいよいよである。

 ラオスとの国境の街へ向けて、ひた走る列車の前後には、ただひたすら真っ直ぐな軌道。



 ところで、この写真は2003年、今はずいぶん良くなっているかも知れないが、こういった真っ直ぐな線路でも、車体は結構右に左に大きく揺れたものだった。

 レールを綺麗に真っ直ぐに作るにも、真っ直ぐに敷設するにも、技術が必要である。
 また鉄道の車体というのは非常に重い。特に電化されていない区間はディーゼル機関車が客車を引っ張る編成となるのだが、この気動車は100トンを越えるのが普通だ。そんな重量が細い2本のレールの上に乗るのである。軌道への負荷が相当なものであるのは容易に理解できる。たとえ真っ直ぐに敷設できたとしても、軌道への負荷により、時が経つとレールは歪んでしまうのだ。真っ直ぐを維持するには、細やかなメンテナンスも必要なのである。

 トロッコを走らせる程度ならいざ知らず、我々が今日知っているような鉄道は、そういった地味な基礎技術がなければ、普通に真っ直ぐ走らせることすらままならないのである。我々が普段の生活で当たり前と思っていることも、実は高度な技術やメンテナンスの賜物なのだ。

 こちらの記事の最後にも書いたが、色々なところを見て歩くと、自分が当たり前に享受していたことも、やはり見えないところで支えてくれる人がいて、そのおかげで当たり前が成り立っているのだということを、改めて気付かされることも少なくない。

 見聞を広める、ということは、単に知識や経験を得ることだけに意味があるのではなく、そこから何か考えたり、想いが産まれたり、それによって生き方が変わったり、そういったことに意味があるのではないかと思うのだ。

【写真】2003年6月
【文章】2005年6月 2017年2月加筆

早朝に長距離夜行列車が国境の街ノンカーイに到着する頃はまだ真っ暗だった

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 タイ国鉄の東北線の終点は、ラオスの首都ビエンチャンにほど近い国境の街ノンカーイである。バンコクからは毎日数本の長距離夜行列車が出ているが、早い時間の列車だと夕刻にバンコクを出発し、早朝5時にはノンカーイに到着する。

 周りはまだ真っ暗であるが、駅は少し町はずれにあるので、この時間から三輪タクシー・サムローが駅前には待ち構えていた。列車から降りた乗客はめいめいノンカーイの街やバスターミナルなどへ向かっていく。

 タイ国鉄は長距離路線がほとんどであり、日本のようにコミューターとしてはあまり利用されていない。こういった田舎の終着駅では、列車の本数も数えるほどである。故に列車の到着に合わせて駅は賑わい、その喧噪が収まるとまた元の静かな駅に戻る。現代の日本で似たような賑わい方をするところは駅ではなく、地方の長距離夜行バスの発着所だけかも知れない。

【写真】2007年4月
【文章】2016年8月

マンゴスチンは『果物の女王』

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 ドリアンは『果物の王様』と称されるが、それに対し『果物の女王』と称されるのがマンゴスチンである。タイ語ではマンクットと呼ばれる。(最後のトはほとんど発音しない)

 赤黒い分厚い皮は、見た目ほど固くないので手でも剥ける。中からは房状の白く柔らかい果実が現れる。ただし劣化していると半透明で黄色がかったゼリー状の果実になる。

 果物にしては珍しく、時間経過とともに皮が硬化していく。その厚い皮ゆえに長持ちしそうな気がするが、実は劣化しやすく賞味期間は短い上、中身の状態の確認もできない。故に日本ではほとんど見られないし、売っていても1個数百円したりする。

 柔らかくふんわりした食感と、南国フルーツの強い甘み、それに加えて絶妙でさわやかな酸味。上品な舌触りと味わいはまさに女王と呼ばれるだけのことはあると思う。ローンコーンもそうだが、ストレートに甘いものよりも、若干の酸味が加わるほうが私の好みらしい。

 ちなみにこの赤い果皮、染料としても使われるほどのもので、周囲を汚してしまうことには注意したほうがよい。服などにつくと、簡単に落ちない。ホテルによっては調度品などの汚れ防止のため、ドリアン持ち込み禁止と同じく、マンゴスチン持ち込みを禁止しているところもある。

【写真】2007年5月
【文章】2016年7月

タイでもカルピスはカルピコなのだ

CALPICO

 日本ではお馴染みのカルピスウォーター、英語圏ではCow Piss、つまり『牛のおしっこ』に聞こえるということで、CALPICO(カルピコ)と言う名で売られている。

 ついでに書いておくと、日本人はLの発音が苦手だと言われる。CALと書くとカタカナ発音で「カル」と読んでしまいがちだが、英語圏の人の発音ではルは聞こえない。これは舌の位置や息の送り方の違いであるが、CALは無理やりカタカナ表記するなら、どちらかというと「カゥ」に近い。CALPISと綴ると、本当にカゥピスに聞こえるのだ。

 タイのカルピスもカルピコだった。タイ語もそれに近い綴りで書いてある。2003年に撮った写真で、今となっては懐かしいデザインだ。

 ただ、私的には、英語圏ではないタイで、なぜカルピスのままで売らないのか疑問だった。というのも、確かカルピスはカルシウム+サルピスが名前の由来のはずだ。サルピスとはサンスクリット語で乳から精製して作る熟酥のことを指す。元々サンスクリット語由来の単語が多く使われているタイなら、違和感はないのではないか、と思ったのだ。

 ちなみに熟酥とは大般涅槃経に出てくる五味の一つ。乳→酪→生酥→熟酥→醍醐と精製され、最高に精製された美味が醍醐。最上の仏法を述べる際、『醍醐のように最上』を例えとして使ったことから転じて、物事の一番美味しいところを醍醐味と言うようになったのは結構有名な話。ただし醍醐の精製法は現在では失われており再現できないため、醍醐がどのような美味であったのかはわからないそうだ。

 飲んでみると、日本のカルピスウォーターと違って、随分粉っぽい感じがした。良く見るとヨーグルトフレーバーなる表記が書いてある。日本でヨーグルトフレーバーと書いてあるのは見たことがなかったし、味の違いはこれが原因のような気がした。特にまずいわけではなかったが、ヨーグルトフレーバーではなく普通のカルピスウォーターの方が美味しい気がした。

【写真】2003年8月
【文章】2006年前後  2016年6月改訂

インドシナ半島の華僑オリジナルの土地神『本頭公』の廟 ノンカーイにて

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 タイ東北部のラオスとの国境の街ノンカーイをぶらりと散策していると、中華風の建物に出会った。潮州風の廟に見える。

 門には『本頭公媽』と書いてあったが、訪問した時には何の廟かわからなかった。とりあえず門は開放されていたので、中に入ってみた。

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 中には人っ子一人いなかったが、とても綺麗に掃除されていた。大切にされているのであろうことはすぐにわかる。

 後に調べてみたところ、本頭公というのはインドシナ半島を中心とした中華社会で祭祀されている土地の神様で、中国本土には見られないようだ。つまり中華系移民(華僑)により移住先で創造された存在である。

 地域によっては本頭公に異なる説明や解釈があるという点も興味深い。祀っている本頭公は単に土地神という解釈も多いようだが、廟によっては周達観であったり、鄭和であったり、蘆俊義であったりするらしい。

※周達観: 中国の元の時代の人で、真臘国(今のカンボジア)を訪問し、『真臘風土記』を記した。
※鄭和: 明代に東南アジアなどの大航海を指揮した武将。
※蘆俊義: 水滸伝に出てくる英雄。実在の人物ではないはず。

 上記はかいつまんで記しているが、以下の雑誌掲載論文は詳細な考察などが記されており、非常に興味深い。
http://repository.tufs.ac.jp/bitstream/10108/65292/1/field-2_p07.pdf

【写真】2003年8月
【文章】2016年6月 2018年3月一部修正
  
プロフィール
管理人:坂木
ただ行けるところまで行ってみたい。何もなくても構わない。何もないことを見に行く。そんな性癖を勝手に最果(さいはて)志向と名付けた。
職業は会社員。休みのたびにあてもなくフラリ旅に出てしまう。



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