昨日タイ国鉄の田舎の無人駅の記事をアップしたのだが、旅情的には共通する雰囲気がある日本のなんの変哲もない無人駅の写真があったのを覚えていたので、探してみた。
旧国鉄会津線は国鉄の分割民営化の際、早々に第三セクターの会津鉄道に引き継がれた。写真はその会津鉄道のあまや駅。会津若松の市街から南へ進み、芦ノ牧温泉の一つ手前にある無人駅である。
ホームの上にはベンチも何もない。無人駅で駅舎もないが、物置のような待合室がホームの脇にポツンと立っている。
恐らく昨日の記事のタイ国鉄の田舎駅と乗降者数は遜色ないのではないかと思う。そう考えて比較してみると、簡素だがきちんとしたプラットホームが、なんだか非現実的な構造物のように思えてくる。
住所としてはここも福島県会津若松市のはずだ。とはいえ、かなりの郊外である。周囲には住宅も疎らにあるが、市街があるわけではない。周辺にめぼしい名所などがあるわけでもない。
水牛はいないが、なんとも長閑な光景だ。
会津鉄道はいわゆる会津西街道に沿って敷設されている。会津西街道は現在の国道121号線である。ふらりと東北を放浪旅する際には何度も走っている道だ。
会津西街道はこのあたりの主要道の一つで、土日になると芦ノ牧温泉辺りで道路が渋滞することがある。そんなとき、目的がない放浪の旅路なら、ちょっと脇道に逸れてみたり、休憩がてらになんの変哲もない場所に止まってみたりする。これもまた旅の縁というものだ。
【写真】2009年10月
【文章】2019年6月