最果志向 ~放浪家坂木さんの足跡~

この数十年の放浪履歴を元に思ったこと・感じたことなどを訪問者の目線で綴る『旅エッセイ』ブログ。たまに自作の音楽の紹介。

四国 Shikoku

【坂木より】
2016年6月2日開設。現状一日1~2記事の更新です。皆様と『最果(さいはて)志向』と『漂泊の思い』を共有できれば幸いです。たまに昔作った音楽も公開しています。

行けなかったのもまた縁、そのうち行ってやろうと思う

DSC_0050

 愛媛県新居浜市に別子銅山という鉱山がある。いや既に閉山しているので、あった、というほうが正しい。住友グループの礎となった鉱山である。この鉱山跡地の産業遺産は『マイントピア別子』として、テーマパークのような感じで開放されている。

 鉱山跡は麓のほうから広がっているが、そこからずいぶん山の上のほうにも遺産群がある。『東平』とかいて『とうなる』と呼ばれるエリアは、車や運行されているバスを使わないとたどり着けない。かつては鉱山開発の本部や多くの施設があり、従業員の社宅や学校・劇場まで作られ、小さな街を形成していたという。屋久島でも林業のためのかつての集落跡地を見たが、同様のものだろう。

 最近では東洋のマチュピチュなどとも呼ばれているらしい。私的には、日本にマチュピチュやらラピュタやらが増えすぎて若干辟易してはいるが、その売り文句は別にしても、それなりに見ごたえがあるのではないかと思った。そこで、とりあえずは車で向かってみることにしたのだった。

DSC_0049

 ところが残念ながら、東平に入っていくところの山道は通行止めになっていた。訪問したのは1月だったのだが、なんと冬季は閉鎖されているのだ。

DSC_0051

 確かに周囲を見回してみれば、少し高いところはもはや雪山のようになっている。

 まぁ、天気が良いのも悪いのも、季節が違っても、訪れたその時だけを切り取った表情しか見られないのが旅の縁である。通行止めになっているのもまた旅の縁である。

 冬のひんやりとした空気を感じながら、綺麗な空気と景色を楽しんだ後、引き返すことにした。またそのうち来てやるぞ、と思いながら。

【写真】2017年1月
【文章】2019年5月

松山駅前の牛丼の中野屋

2005-11-20_10.38.11

 以前の記事でも書いたことがあるが、私にとって愛媛県の松山はなぜか縁のある土地である。南予出身の家内を持ったこともあるが、知り合うずっと以前にも何度か訪れていた地だ。初めて訪れたのは1970年代らしいが、幼少の頃でほとんど記憶にない。1990年代前半に何度か訪れたのが残っている一番古い記憶だ。

 1990年代前半、私はまだ学生だった。初めて一人で訪れた際は、鉄道で瀬戸大橋を渡り、予讃線でやってきたと思う。いざJRの松山の駅で降りて、真正面に目に入ったのが、牛丼の『中野屋』。当時の写真は残っていないが、とっても吉野家っぽい外観だったと思う。四国随一の都市の玄関口で大丈夫なのか、と衝撃を受けたのを覚えている。

 上の写真は2005年のもので、まだお店はあったが、外観は少しばかり吉野家ライクではなくなっていた。オレンジ色の基調は変わっていなかったが。

P1020209

 松山は大手全国チェーン店だけでなく、小さなローカルチェーンもひしめく牛丼激戦地とのことで、お店にも興味があった。しかし、なかなかこの駅前で食事を摂るタイミングを外してしまうことが多く、何度か松山駅を利用したにも関わらず、行ったことはなかった。

 そして2013年に訪れた際には、松山駅付近で比較的ゆっくりできる時間ができた。しかし、お店はもう無くなっていた。今でも他に店舗があるのかどうかはわからない。

 やはり旅の出会いというのは、風物やお店との出会いであったとしても、縁のものである。

【写真】上:2005年11月  下:2013年1月
【文章】2018年9月

小藪温泉(愛媛県)

2005-11-19_13.27.32

 愛媛県大洲市に小藪温泉(おやぶおんせん)という温泉がある。その昔は肱川町と呼ばれた場所であるが、現在では合併して大洲市の一部となっている。訪問したのは大洲市と合併して間もない頃だったと思う。

 大洲市街方面から肱川に沿って国道を南下し、大きな鳥居があるところを入っていった記憶がある。そこから肱川の支流の小藪川に沿って、狭い道をしばらく進む。

 一軒の宿だけがある小さな温泉だ。その宿は昔の民家のような趣で、昭和生まれの私にとっては懐かしさを感じるものだった。

2005-11-19_13.25.16

 日帰り入浴も可能である。風呂場までは、これまた趣のある板張りの廊下を進む。

 歩を進めると鳴る木の音がまた旅愁を感じる。

2005-11-19_13.26.05

 愛媛の温泉といえば、まずは道後温泉を思い浮かべるが、こういった小さな温泉や湯治場などもたくさんあると聞く。私は特に温泉通というではないので、無責任に比較やお勧めを挙げることは控えておくが、いろいろ巡ってみるのも悪くはないと思う。

【写真】2005年11月
【文章】2018年8月

長宗我部元親の初陣像

FH030016

 古い安物の銀塩カメラで撮った昔の写真なので、写りの悪さはご勘弁頂きたい。

 長宗我部元親の長浜の戦いに於ける初陣の姿の像である。長身で色白だったとのことで、銅像もスラリとした姿が印象的だが、肌色はわからない。長浜は現在の高知市長浜、市街中心から真っ直ぐ南に進んで海に面する辺りで、像は鎮守の森公園緑地というところに立っている。

 長宗我部元親は土佐随一の戦国大名である。元は国人で、軍事的才能を発揮して四国全体に勢力を拡大するが、秀吉に敗北して土佐だけに減知される。

 初陣の時の逸話がある。幼い頃は大人しい性格でぼんやりしていたことも多かったので『姫若子(ひめわこ)』と揶揄されていたそうだ。そして初陣の際、家臣の一人に槍の使い方のコツと大将としての在り方を聞く。その教えのままに実践した元親は、敵を大いに打ち破り、以降『鬼若子』と呼ばれるようになったのだとか。


 写真は2000年1月だったはずだ。たしか人生でも3連休での最長距離に近い放浪ドライブだったと思う。デジカメではないので、数少ない写真と記憶が頼りだが、京都発で淡路島経由、徳島、高知、愛媛、佐多岬から船に乗って大分、熊本、佐賀。そして京都帰着。もちろんほとんど高速道路は走っていない。

 ネガが残っていたので確認してみたが、この写真の前は龍河洞、次の写真は大分県だった。この公園は高知の有名な名所である桂浜の近くなのだが、この時桂浜には立ち寄っていない。なぜこの公園に立ち寄ったのか、今となっては不思議であるが、放浪というのは大抵着いたところが目的地で、行く先など決めてはいないので、そういうものだ。


【写真】2000年1月
【文章】2018年8月

日本最古の道路可動橋 長浜大橋全景

DSC_0056

 古来より川は舟の通り道として利用されてきた。そして昔、世界中で船が通るときに引っかからないように形を変える橋、すなわち可動橋が作られた時期がある。現代では様々な理由、例えば川の舟運が以前より衰退していたり、橋を高く作る技術ができたり、そもそも不便であったりもするので、わざわざ大がかりなメカニズムが必要な可動橋で鉄道や道路を通すことは少ないようだ。

 しかし現代の日本に於いても、フェリー埠頭などをはじめとして、現役稼働できる可動橋は多数残っている。以前に紹介した天橋立にある可動橋もその一つだ。

 日本では鉄道橋の可動橋のほうが若干歴史が古いが、それも数年程度のものだ。そして道路を通した可動橋では、愛媛県の肱川にかかる長浜大橋が日本最古であるとのことだ。肱川の河口に近いこの辺りは、元は橋の名前の通り長浜町だったが、平成の大合併により今は大洲市の一部となっている。

 幹線道路としての役割はこれより少し河口よりに架けられた新長浜大橋に譲り渡しているのだが、今でもこの細い橋は生活道路として使われている。形からして真ん中のトラスの骨組みが無い部分が跳ね上がるのだろうと思うが、残念ながら動いているところを見ることはできなかった。後に調べてみると、毎週日曜の13時に、点検をかねて開閉されるらしい。

 そもそも可動橋という発想自体が、今からしても直線的で奇抜で大がかりな発想だと思う。それ故か、作られた時代の要件も限られている。舟運がまだ盛んな時代、大きなアーチ型の橋の建築ができなかった時代、橋を動かすメカニズムを作って動かすことが可能な時代、船を通すために幹線道路や鉄道を待たせることが許された時代。歴史的に見れば、作られた期間が長いとは言えないだろうし、恐らくこれからも作られることは少ないだろう。

 だから、こうした産業遺産を保護することも大切なのだろうと思う。それに国やユネスコもそれに気が付いたから、昨今では産業遺産の文化財や世界遺産への登録が増えてきているのだろうと思う。ただ後世にモノや情報が今以上に残されていくとなると、溢れかえって大変な気もするけれど。

【写真】2017年1月
【文章】2018年2月

  
プロフィール
管理人:坂木
ただ行けるところまで行ってみたい。何もなくても構わない。何もないことを見に行く。そんな性癖を勝手に最果(さいはて)志向と名付けた。
職業は会社員。休みのたびにあてもなくフラリ旅に出てしまう。



記事検索
カテゴリー
ブログコミュニティ
いろいろな旅行ブログ
にほんブログ村 旅行ブログへ

いろいろなタイ旅行のブログ
にほんブログ村 旅行ブログ タイ旅行へ

いろいろな台湾旅行のブログ
にほんブログ村 旅行ブログ 台湾旅行へ

いろいろな中国旅行のブログ
にほんブログ村 旅行ブログ 中国旅行(チャイナ)へ
メッセージ

名前
メール
本文
Thanks for your visit (UU counts)

    2016/6/2開設