昔、私がまだ海外に行ったこともなく、日本全国を放浪し始めた頃のネガを見つけた。雑誌の付録に付いていたような『写ルンです』と同様の超チープな銀塩カメラを使っていた時代の話だ。
当ブログの初期の記事でも書いているが、昔の写真はあまりない。そして残っている数少ない写真の中にも、ひどい取り損ねが多い。カメラの性能が酷過ぎることもあったし、今のように撮ってすぐ確認して悪ければ消して撮り直し、ということもできないので、きちんと撮れているかどうかは一種の神頼み的なものだった。
この写真もあまり性能のよくないカメラで、暗いところで撮っていたので、よく撮れていない。この時は一人旅だったはずなので、誰かに撮ってもらったのかも知れないが、それもよく覚えていない。タイムスタンプもないので、正直いつのものかはわからない。そんな中だが、写真を元に薄れつつある記憶を手繰ってみた。
おそらく1994年頃に四国へ行った時に、夜行の快速列車『ムーンライト高知』に乗り込む時だったような気がする。確か松山に行きたかったのだけれど、当時ムーンライト号は高知行きしかなかったので、ついでに高知経由で放浪しつつ松山に向かった。確か翌年にムーンライト松山号も運行開始されたので、もう1年早くしてくれれば、と思った記憶がある。
これは車内で撮ったものらしき写真。たぶん鏡を使って自分を写そうと試みたものだろう。もちろん今となっては覚えていないが。
今の時代でもカメラにセルフタイマーの機能はついているが、使っている人はあまり見かけない。そりゃあ、今の時代は出来栄えを確認しながら自撮りできるのだから、セルフタイマーを使う必要もない。便利になったものだ。
とはいえ、このような撮り損ねの写真でも、記憶を呼び起こす鍵にはなってくれることもある。中にはなんの写真だかさっぱりわからないものもあるが…。
【写真】1994年5月(おそらく)
【文章】2017年12月
【文章】2017年12月