最果志向 ~放浪家坂木さんの足跡~

この数十年の放浪履歴を元に思ったこと・感じたことなどを訪問者の目線で綴る『旅エッセイ』ブログ。たまに自作の音楽の紹介。

イギリス - ロンドン UK - London

【坂木より】
2016年6月2日開設。現状一日1~2記事の更新です。皆様と『最果(さいはて)志向』と『漂泊の思い』を共有できれば幸いです。たまに昔作った音楽も公開しています。

1997年ロンドン ナイツブリッジ周辺

1997-08-12-01

 1997年の夏、私はロンドンに居た。初の渡欧だった。

 当時の私は大学を卒業して就職後数か月の社会人一年生だったが、英語力はそりゃあひどいものだった。TOEICで言えば300点程度、会話は今の高校生の方がよっぽどできると思う。そんな私がなぜか旅先にイギリスを選んだのは、ミュージカルのCATSをオリジナルで見たかったのと、美味しい紅茶を求めてのことだったが、この話は別の記事でも書いているので、ここでは割愛しておこう。

 とはいえ、ロンドンの人々は私のつたない英語でも、和やかにわかるまで聞いてくれたように思う。後にアメリカに何度か訪れることになるが、同じ英語の国ということでアメリカと比較してもロンドンの人は比較的ノンネイティブに対して辛抱強く寛容だった印象がある。もちろん昔の話であるし、私個人が接した範囲でしかないことは承知している。


 ただそういったイメージや感触は覚えているものの、行った場所やその多くの光景は残念ながら時と共に記憶から消え去りつつある。デジカメもなかった当時ではカメラや写真は高価なもので、旅の備忘録的に手当たり次第スナップ写真や食べ物等を撮るという感覚はなかった。故に、昔の旅の写真を見返してみてもありきたりの観光名所の写真、あるいは変わったポーズをして撮ったポートレートとも呼べない代物ばかりが残っているのだ。これはたぶん私だけの話ではなく、古くから旅をしている人の『あるある』として、よく出てくる話だ。

 そんな中でも、たまに街角のスナップが紛れていることがある。銀塩カメラの時代の写真は、GPS情報はおろか、前後の繋がりやタイムスタンプもないので、どこで撮ったのか、何が琴線に触れて写真を残したのか、覚えていないことも多々ある。

 上の写真も紛れていた街角のスナップである。ただしなんとなく場所には覚えがあった。たしかロンドン塔に行ったあと、路上でバスに飛び乗って、降りた辺りだったような記憶がかすかに残っている。ただこの写真は8月12日の最後の写真で、この次にどこに行ったのかは覚えていない。もしかしたら投宿していたのがこの近くだったかも知れない。

 なんとなく覚えている周辺をgoogle mapやストリートビューで探ってみると、案外簡単にたどり着けてしまった。店などはすべて変わってしまっているが、道路左側に並ぶ建物の形が完全に一致するので間違いないはずだ。チューブのナイツブリッジ駅付近だった。



 ストリートビューでは撮影時期を変えてみることも可能だ。左側の建物に国旗がかかっているのが何十年も変わっていないのも、なんだかイギリスらしく思えたりする。

【写真】1997年8月
【文章】2019年8月

1997年に訪れたロンドンのクイーンメアリーズローズガーデンズの記憶を辿ってみる

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 ロンドンで一番美しい公園といわれるリージェントパーク。その一角にインナーサークルという輪状の道路に囲まれたエリアがある。クイーンメアリーズ・ローズガーデンと呼ばれるバラ園だ。

 メアリーと言えばブラッディーメアリーと呼ばれるイングランド王メアリー1世が有名ではあるが、そのメアリーに因んでいるわけではない。メアリーオブテック、エリザベス二世陛下の祖母に当たるメアリー王妃である。歴史を勉強していても、どのメアリーやらエドワードやらチャールズやらわからなくなる。

 さて写真はデジカメではなくネガスキャンしたものである。右下の日付表示が懐かしい。バラ園を散策した記憶は既に朧げではあったが、ネガの前後にリージェントパークの写真があったのですぐに辿ることができた。



 世の中はますます便利になり、いまや街角だけでなく公園の中でさえも疑似散策することができる。Googleストリートビューでバラ園を歩いてみると、写真に見える門がすぐに見つかった。

 20年の隔たりがあるはずなのに、ほとんど光景が変わっていない。木々や花壇は植え替えされたりしているようだが、道も同じ、ゴミ箱やベンチの場所やデザインさえ同じである。この変わっていないということは驚くべきことであると思う。二十年の歳月で、備品類のデザインや位置まで同じというのは、メンテナンスが素晴らしいレベルで行き届いているということだろう。

1997-08-10-02

 もう一枚、若き日の私が写っているものがあった。この公園は御覧のような花が至るところに咲いていて、とても美しかった記憶がある。その中の一つを記念に残しておきたかったのだ。

 公園のどこで撮ったかは覚えていないが、ローズガーデンの近くだった記憶はある。花壇の後ろに茶色の三角屋根などの建物が見えるので、もしかしたら公園内にあるリージェンツ大学ではないかと思った。その周囲に見える道を見ると、なんとなく光景に見覚えがあったりして、すぐに場所がわかった。忘れたと思っていたのだが、人間の記憶というのは不思議なもので、何かしらの情報があると、紐を伝うようにスルスルと記憶が引き出されてくることがある。



 残念なことに、美しい花壇は無くなっているようだが、なんとなく見覚えがあった。後ろの屋根が見える角度が一致しているので、この場所で間違いないはずである。

 とりあえず覚えているうちに、こうやって記録しておこう。

【写真】1997年8月
【文章】2019年6月

ロンドンのオックスフォードストリート in 1997

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 安物カメラで撮った古い写真をスキャンしたものなので、色合いなどの悪さはご勘弁頂きたい。

 1997年、ロンドンのオックスフォードストリート。正直のところ撮った場所をはっきりと覚えていなかったが、なんとなく雰囲気から察しはついていた。なにせ世界的に有名なショッピングストリートで、欧州で最も人通りが激しいと言われている。

 場所は簡単に特定できた。写真右奥に建物から歩道に迫り出した赤い文字が書いてある看板があるが、拡大してみるとどうやらHMVの店舗だった。Googleマップやストリートビューで確認してみると、20年以上経った今もまったく同じ位置にあるようだった。

《Googleストリートビュー》


 周囲の建物も多く変わっているようだが、道路左側の茶色っぽい建物だけは残っている。それに建物が変わっていても、なんとなく感じる雰囲気は共通のものを感じる。

 しかし、二十年前の写真とGoogleストリートビューで同じ場所を見た時、二台のダブルデッカーのバスの構図が似通っている偶然には少しばかり驚いた。
※ストリートビューの画像は2017年8月バージョン

【写真】1997年8月
【文章】2018年5月

ロンドンのウォータールー駅の記憶

1997-08-15 (2)

 1997年8月にロンドンを訪れた時の写真である。ネガを紛失しており、残っていた写真も束になっていただけなので撮影した順番もわからない。この写真も正直どこで撮ったのか全く記憶になかった。

 ただ『Waterloo International』の文字だけははっきり見える。ワーテルロー?いやナポレオン戦争の古戦場にも興味はあるが、ベルギーに行った覚えはない。英語読みだとウォータールーか。

 地図で調べてみるとすぐにわかった。ロンドンのテムズ川南岸にある大きな鉄道駅だ。今や公園や駅などの施設内でも、ある程度Googleのストリートビューで見ることができることは、過去記事でも書いた通りだ。確認してみたが、場所はここであっていそうだ。



  20年の歳月が過ぎ、中二階ができていたりと大きく変わっているように見えるが、基本構造は変わっていないようだ。屋根の見た目や緩やかな曲線を描く構造など、随所に面影がある。

 せっかく辿れても、懐かしいと思えるだけの記憶が残っていないのが寂しいところであるが。

【写真】1997年8月
【文章】2017年12月

略奪博物館と揶揄される世界最大規模の博物館

1997-08-14 (1)

 大英博物館はイギリスのロンドンにある大きな博物館である。その収蔵物も有名なものが多い。

 写真はすべて1997年に訪問したときのもの。ネガが紛失していたのだが、未整理の束から写真を発見してスキャンしておいた。古ぼけたり色あせたりしているものもあるが、ご勘弁頂きたい。

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エジプトのミイラや副葬品などのコレクション。
これ以外にもたくさんある。

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 これもエジプトのもの。なんだったかは忘れてしまった。

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 エジプトのものばかりではない。ギリシャやローマ、ミケーネ文明などヨーロッパの古代文明の展示も多くある。写真はパルテノン神殿の彫刻だったと思う。

1997-08-14 (4)

 もちろんアジアのものも多数展示されている。


 大英博物館は略奪博物館などと揶揄されることもある。実際に行った私自身もそう思ったものだ。
 世界中から掻き集めたのはすごいことだが、これらは略奪や盗掘などで非合法に集められたもの、あるいは一応は合法だがその文化財的価値があまり知られていないうちに、詐欺まがいの手法や経済がグローバル化していない時代に強国の経済力に任せて買い上げてきたものなども多数含まれる。

 21世紀に入る頃より、こういった文化財に対して返還運動が高まっていたと思う。上記写真は20年も前のものであるし、中には実際に返還されたものもあるかも知れない。強奪された国の宝である文化財を返してくれ、という理屈はよくわかる。

 ただし、今となっては法的な所有権は博物館側にある、という主張も理解できなくはない。私はどちらが正しいなどと言うつもりもない。歴史は事実でしかなくて、善悪は当時あるいは後世のそれぞれの時代の世相や倫理観を基準として判断しているだけだろうと思っている。

 だからというわけではないが、大英博物館が世界中から掻き集めたことの善悪はともかく、実際に世界中のたくさんの貴重な文化財が展示されていることは事実である。中はあまりにも広いし、日本で言うところのいわゆる国宝や重要文化財クラスの珍品がズラズラと並んでいるのだから、普通に見て回ったら1日では到底足りない。非常に好奇心が旺盛な人でも満足させられること請け合いの博物館だと思う。

 『泥棒博物館には絶対行きたくないんだ』と仰る方以外は、是非人生で一度は訪れたほうが良いと思える場所だ。いや、できるならば何度となく行きたいものではあるが。

【写真】1997年8月
【文章】2017年12月
  
プロフィール
管理人:坂木
ただ行けるところまで行ってみたい。何もなくても構わない。何もないことを見に行く。そんな性癖を勝手に最果(さいはて)志向と名付けた。
職業は会社員。休みのたびにあてもなくフラリ旅に出てしまう。



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