北京でも有名な飲食店の並ぶストリート、簋街。鬼街とも呼ばれるのは、簋と鬼の読みが共通してguiであるからだ。
夕方以降になると、頭上にズラリとならぶ赤提灯と電飾看板の赤文字で、街は真っ赤な活力にあふれてかえっていた。
並んでいる飲食店は、そんなに高級料理店ではなく、どちらかというと庶民的なレストランばかりだったと思う。
多くの看板には『小龙虾』の文字が多く書かれていた。おそらく鬼街の名物なのだろう。店の中を覗いてみれば、山盛りの真っ赤な小龙虾を貪るように平らげて、こんどは殻の山が山盛りになっていくのをそこらじゅうで見かけた。いつ頃からなのか、今もそうなのかは知らないが、専用のビニール手袋をして手で剥きながら食べるのが、共通のスタイルだ。
小龙虾(小龍蝦)はいわゆるザリガニのことである。日本では固有種ニホンザリガニの他に、アメリカからウシガエルの食用として持ち込まれ、逃げ出して繁殖してしまったアメリカザリガニも多数生息しているが、泥水などに住むイメージのせいか、今日において一般的に食べられてはいない。しかし、中国やアメリカの一部では好んでよく食べられる食材であるし、フレンチにも使われると聞いたことがある。
私は以前食べたことがあるが、特に美味しいとも不味いとも思わなかった。普通にエビのような味がするし、風味はなかなか良い。日本で一般的な食材に例えるならシャコかイセエビが近いかも知れない。私的には好んで食べるほどではないが、前に出されたら美味しく頂ける、といったところだ。
ただ、食べたのもずいぶん昔、たぶんデジカメを持っていなかったころの話だ。当時は食べ物の写真などほとんど撮らなかったはずなので、写真も残っていないと思う。
【写真】2013年7月
【文章】2019年7月