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 私はシンガポールへは二回行ったことがある。一度目は仕事で、約2ヶ月ほど滞在した。しかし仕事は忙しく、平日は毎日深夜まで、週末もほぼ仕事をしており、あまり遊びに行くようなことはなかった。

 とはいえ、休日の食事や買い物には出かけなければならないし、運動や気晴らしも必要だ。休日はゆっくり寝て休むのが一番のストレス解消と仰る方も多いが、どうも私の場合は遊びで疲れないとストレスは解消されないらしい。土日のどちらかの午前中は、日常品の買い物を済ませたり、安くて美味しそうな食堂を探したりしつつ、フラリと街歩きをする時間に充てることにしていた。

 上の写真はどうやらそんな中で撮った一枚らしい。らしい、というのは、前後には何も撮られていないし、正直どこで撮ったのかも覚えていないからだ。

 見知らぬ土地では繁華街も楽しいが、そこから徐々に外れて、下町らしき雰囲気の街並みの中を歩くのもまた楽しいものだ。それはシンガポールだけに限った話ではない。ただし、そういった場所での写真はあまり残っていない。やはり生活感のある場所である。外人である私が興味本位でパシャパシャ撮るのもなんとなく憚られるのだ。

 写真に食堂が写っているので、お店の名前で検索すれば、場所を特定するのは容易だ。



 場所はどうやらここだ。そういえばクラークキーの付近で朝食に肉骨茶(バクテ)を食べて、そのまま市街地から外れる方向へフラリと歩いた時があった気がする。どうやらその時の写真のようだ。

 前に映っている建物は同じだが、すこし下町チックな風情はどこかへ行ってしまって、こじゃれたプラナカン風の色合いに改装されているようだ。奥にある少し高めの白い建物も、綺麗に塗装されているようだった。
※プラナカン文化:マレーシア・中国・欧州が折衷しており、シンガポールの多様性の象徴とも言うべき文化

 そういえば更に思い出した。確かこの並びに入っている潮州料理の『亮記餐館』が美味しいと聞いていたのだが、まだ営業時間外なのか開いていなかったので、写真を撮っておいたのだった。上の写真のちょうど真ん中に見える、上が少し赤い看板のお店である。

 ネットで場所や光景が辿れるようになっただけでも素晴らしいことではあるが、それらが鍵となってその前後の行動や思考などを記憶の引き出しから引っ張り出せることも少なくはない。また記憶が残っていて引き出せるうちに、色々書き留めておきたいと思う。それをまた後で見返せば鍵になったりする。

 結局シンガポールに再訪したときには忘れていて、こちらも訪れることはなかったと思う。Google Mapで見る限りではまだ営業しておられるようなので、機会があれば次こそは訪れてみたいものだ。

【写真】2009年2月
【文章】2017年6月