最果志向 ~放浪家坂木さんの足跡~

この数十年の放浪履歴を元に思ったこと・感じたことなどを訪問者の目線で綴る『旅エッセイ』ブログ。たまに自作の音楽の紹介。

福建省

【坂木より】
2016年6月2日開設。現状一日1~2記事の更新です。皆様と『最果(さいはて)志向』と『漂泊の思い』を共有できれば幸いです。たまに昔作った音楽も公開しています。

露天商と官憲のいたちごっこ

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 厦門の中山公園は市街中心近くにある都市公園である。バスに乗って何度も前を通り過ぎていたので、一度立ち寄ってみることにした。

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 この時はちょうど休日で、子供連れ中心に賑わっていた。私が訪れたのは南門からだったが、入口付近にはちょっとした食べ物や玩具・風船などを売る露店も出ていた。

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 だが突然、露店の人々は商品や荷物をサッとまとめて、足早にその場を離れた。蜘蛛の子を散らすように、というのはこのことだろう。写真の赤いバケツや袋などを持っている人々はみな露天商だ。

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 自転車露店の風船屋さんははやくて、もう遠くに行ってしまっている。写真右奥。

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 何事かと思っていたら、すぐに官憲がやってきた。恐らく公園や路上での無許可の露天販売は禁止されていて、見回りにやってくるのだろう。

 彼らも露天商が逃げて行ったのは気付いていたと思うのだが、特に追いかけるわけでもない。公園をパトロールするわけでもなく、すぐに車に乗り込んで行ってしまう。

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 官憲が行ったのを確認すると、露天商たちはすぐにぞろぞろと戻ってきて商売を再開するのだ。ちなみに彼らが逃げ出してから、戻ってきて再開するまでおよそ1分程度の出来事である。

 鷹揚というかたくましいというか。

 少なくとも官憲の見回りの効果は全く無いに等しい。官憲のやる気がないのか、大目に見ているのか、見回りは単なる形式だけで事実上は黙認されているのか、癒着があるのか、捕まえきれないのか、よくわからない。

 ただ、いろいろ非効率であるとは感じる。しかし実は中国でこういった情景を見たのは、この時だけではない。中国に居住経験もない単なる短期旅行者の私が何度か目撃している。つまり、こういったことは中国では頻繁にあると考えても良いのだろうと思う。

 日本的な考え方だと、露店は許可してしまうか、厳しく取り締まるか、その二択になるだろうし、それは間違いだとは思わない。しかし、こういういたちごっこがそれなりに許容されている、いわば『秩序』の考え方が違う社会というのも興味深いものだと思ったりする。世界中の常識や考え方がすべて統一されていたら、何も面白くない。

【写真】2019年1月
【文章】2019年9月

厦門・白鷺洲公園の謎の造形物

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 この日は旅程も終わりに近づき、時間を少し持て余したので、厦門の街中の公園をふらりと散策していた。なかなか広大な公園のすべての場所を周ってみたわけではないが、歩いているとなんだか奇妙な造形物に出くわした。

 とりあえず近寄ってみることにする。

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 近寄ってみても、これが何かさっぱりわからない。

 色違いの平らな石が段々におかれ、ピラミッドのような四角錐になっているが、正四角錐ではなく奥行きはそれほどない。その上には何を模しているのかよくわからない銀色のオブジェ。

 真ん中は大人が余裕で歩いて通れるほどの穴が開いている。その上の段には各段に一つずつ丸い穴。

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 真ん中の通路っぽいところには、なぜか鐘が2段ぶら下がっている。

 なんらかの遊具や健康器具の類にしても使い道がわからない。他に何らかの目的で作られたのなら、是非知りたいものである。

 恐らくは前衛芸術の作品のような気もするが、正直なところ私にはこれに美を感じるセンスはなかった。もし芸術作品なのだとしても、私には奇を衒っただけのヘンテコな造形物にしか見えない。

 これが何かおわかりの方がいらっしゃったら、是非ご教授くださいませ。

【写真】2019年1月
【文章】2019年8月

厦門の朝食で杭州小籠包のお店

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 厦門では同じホテルに連泊した。このときたまたま2日続けて朝食に『妙香扁食』というお店で、扁食(ワンタン)を頂いたり、翌朝に小籠包や拌麺を頂いたのだが、その次の朝は違う方向に歩いて朝食を探してみることにした。

 しかし、違う方向に歩いてはみたものの、なかなか朝から開いているお店はなかった。たまたま歩いた場所が悪かったのかも知れない。しばらく歩いて見つかったので、考えるのも面倒で入ったのが『杭州小笼汤包(杭州小籠湯包)』と書いたお店。

 結果から言うと、美味しかった。初めからここを知っていれば、妙香扁食には行かずに、ここに通っていたことだろう。

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 朝から小籠包というのもどうかなと思ったりもしたが、家内が好きなので頼んでみると、時間がかかるので良いか、とのこと。特に急ぎの旅ではないのでOKする。

 すると、生地を伸ばして具を詰め始めた。しかし手際も良いので、それほど待っていない。せいぜい10分程度のものである。

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 拌麺もあったので頼んでみた。このお店でもやはりピーナッツソースがかかっている。やはり厦門の拌麺はピーナッツソースがポピュラーなのだと確信した。

 妙香扁食のものより1元(=16円程度)高いが、こちらの方が格段に美味しい。やはり味そのものだけでなく、器や見た目なども影響するのかも知れないが、過去記事の妙香扁食の拌麺の写真と見比べて頂いてもどちらが美味しいかは一目瞭然ではないかと思う。

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 初日からここに通っていれば、色々と食べられただろうに…。

 まぁ次に厦門に来て、この近くに投宿する機会があれば、来てみるのも良い。居住するのとは違い、旅は訪れた瞬間の切り取りでしかないので、やり残したこと、行きそびれた場所や店、見逃した風景などが多々出てくるものである。それも旅の縁というもので、次に訪れた時に楽しみを取っておくのだと思うようにしている。人生そのものが旅に例えられるのも、こういう一期一会的な縁の繋がりでできているところなのかも知れない。

 覚えているうちに場所を記録しておく。


【写真】2019年1月
【文章】2019年7月

テーマパークのヤバい橋

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 こちら、厦門の市街中心からは少し離れたところにあるテーマパーク。入口のゲートを抜けて歩くと、最初にメインのエリアに向かう大きく立派な橋が見える。

 ちなみに遠くに見える高層建築群はテーマパークとは関係ない。

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 この橋を歩いて渡っていたのだが、橋の中央の辺りで、ふと欄干の付け根を見てギョッとした。

 ボルトらしき金属棒が二本飛び出しているが、その先には本来取り付けられるべき金具がない。金具を固定するためのものと思われるナットとワッシャーだけが放置されている。若干白くなっている長方形の部分が確認できるので、元々は金具があったことは伺える。メンテナンスか何かで外されたのかも知れない。

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 他はどうだろうとみてみると、やはりここだけではなく、いくつかの場所で同様に金具がなく、ナットとワッシャーがだけが上に放置されていた。

 そもそもテーマパークは営業時間内であるのだが、この橋はメンテナンス中とは書かれていなかったし、実際に作業もしていなかった。そんな気配すらもなかった。だがテーマパークに入退場する人は皆、この状態の橋を渡って行くのである。

 少なくとも私が渡っている時には、ぐらついたり危険な雰囲気は感じなかった。プロがどこまでの確信を持ってこの状態を容認しているのかはわからないが、恐らく緻密な構造計算をした上でということはなく、事故が起こっていないから放置されているだけのような気がする。

 正直、少々背筋に寒気が走った。日本でも杜撰な管理やメンテナンスのミス等で事故が起こることはある。それらを隠蔽して問題になることも多い。しかし、素人目で見てもわかるレベルが放置されているのは、色々な意味でヤバい。

 というのも、このパークで働いているすべての人が気付かないはずがない。気が付いたら、対処の方法はいくつも思いつく。にも拘わらず、すべての客がこの橋を渡り、杜撰さに気が付く客もいる状態で営業しているのである。逆に考えると、大きな事故が発生してしまうのは直接的な事象や責任に因るものだけでなく、いろいろな歯止めやチェックが機能しないからでもある、ということを改めて認識させられる。

【写真】2019年1月
【文章】2019年7月

中国の公衆トイレのタオルと社会の衛生の向上について

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 過去の記事でも幾度か紹介したと思うが、中国の公衆トイレはとりあえず臭くて汚いイメージしかなかった。掃除をキチンとしないのか、それとも使う側のモラルの問題か…恐らく両方だろう。

 だが昨今の中国では都市部を中心に綺麗な公衆トイレも増えつつあるようだ。中国政府も衛生面の対策には本腰をあげているようで、街の人々の衛生に関する意識やモラルもかなり向上しているように思う。

 写真は厦門の五通フェリーターミナルのトイレである。洗面台の横には三つのタオルが掛けられていた。表示されている通り、手拭き用ではない。手拭き用としては、反対側にハンドドライヤーが設置されていたと思う。これらのタオルは洗面台周りの掃除用で、拭く場所によってわけられているのだ。

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 Aは鏡を拭くタオル、Bは洗面台が設置されている台(たぶん黒い部分?)を拭くタオル、Cは洗面台を拭くタオル、ということらしい。

 いつだったか失念してしまったが数年前に、同様のものを中国の他の都市で見かけた記憶もあるし、日本でも

 どこまでキッチリと運用されているのか、どれだけ効果があるのかは私にはわからないが、少なくとも衛生に対する意識の高さは感じ取れる。

 今の若い世代には信じられないかも知れないけれど、30~40年前は日本の行楽地やドライブインなどでは耐え切れないくらいに臭くて汚いトイレも多かった。溝に水が流れるだけのトイレにウジ虫がわいているのも珍しいことではなかった。

 考えてみればトイレの衛生というのは、例えばキャッシュレス決済のように単なる経済や技術の発展だけで変わるものではない。水道などのインフラ整備、社会全体の衛生へのモラル向上、あるいは医学等の知識レベルの底上げなど、色々な政治的・人的要因も絡み合って向上していくものなのだろうと思う。

 つまり単なる経済面や技術面といった一元的な進歩ではなく、モラルや知識レベルも含めた多元的な向上である。特に意識改革や知識レベル向上には時間がかかる。日本でもそうやって今の衛生レベルを『常識』にしてきたはずだ。

 そう考えると、100年後のトイレを想像してみるのも面白いのかも知れない。恐らく推理するのは非常に難しいのだろうとは思うが。

【写真】2019年1月
【文章】2019年7月

  
プロフィール
管理人:坂木
ただ行けるところまで行ってみたい。何もなくても構わない。何もないことを見に行く。そんな性癖を勝手に最果(さいはて)志向と名付けた。
職業は会社員。休みのたびにあてもなくフラリ旅に出てしまう。



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