最果志向 ~放浪家坂木さんの足跡~

この数十年の放浪履歴を元に思ったこと・感じたことなどを訪問者の目線で綴る『旅エッセイ』ブログ。たまに自作の音楽の紹介。

海外の不思議な日本語

【坂木より】
2016年6月2日開設。現状一日1~2記事の更新です。皆様と『最果(さいはて)志向』と『漂泊の思い』を共有できれば幸いです。たまに昔作った音楽も公開しています。

導いて背負うマッサージ

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 タイはいわゆる古式マッサージ、伝統的なマッサージなどもあり、首都バンコクでも随所にマッサージ屋が見受けられる。そんなバンコクのとあるマッサージ店。

 ご丁寧に日本語訳もつけてくれている。バンコクは旅行者も含めて日本人も多いので、利用者もそれなりに居るのだろう。

 どれどれ…ん?

 『マッサージを導いて、背負ってください』

 これは何だ?

 他の日本語訳はなんとなくわからないわけでもないが、ここだけなぜか文章になっている。

 よく考えてみるとわかった。おそらく『Head』を『頭』ではなく『導く』と訳し、それにともなってandで結ばれる『Shoulder』も『肩』ではなく『背負う』と訳したのであろう。

 つまり典型的な機械翻訳の誤訳だと思われる。混乱させるだけの日本語なら、むしろ無いほうが良いと思わなくもない。

 とはいえ、善意の結果であろうとは思うので、別に非難するわけではない。ただ不思議なのは、なぜこうやって掲げてしまう前にどこかで気が付いて歯止めがかからないのか、ということである。この訳だけ妙に長かったら、何かおかしいと思うのが普通だと思うし、逆翻訳をかければすぐにわかるはずだろう。発注者や印刷者の承認ルートの中でチェックをしていないのも、私からすると不自然である。恐らく仕事のやり方なども文化の違いというものがあるのだろう、と感じる。

【写真】2018年12月
【文章】2018年12月

よじ登るないでください

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 タイトルは誤植ではない。看板の文言そのままだ。
 もちろん看板が間違っているわけだが。

 『よじ登るないでください』

 うむ、実に惜しい。中国でよく見るヘンテコな日本語の中では、比較的ましなほうだ。

 『安全に注意する』

 ここは命令文にしなければならない。こちらも惜しいのだけれど。もちろん言いたいことは理解できるので、良いと言えば良いのかも知れない。ただ海外からの観光客も多い場所で相応しいものだとは思えない。

 英語の方にも違和感を感じる。”No Climbing”だと、登る行為は一切ありません、って言われているようだ。普通は”Do not climb"だろうと思う。”Caution danger”に至っては注意・危険と単語を羅列しただけだ。"Be careful"とか”Safety caution”あたりが適当な気がする。ただし私はそれほど英語が得意なわけではないので、私が間違っているのかも知れない。

 ハングルは意味は残念ながら私には読解できないが、日本語と英語を見る限り、似たり寄ったりではないかと疑心暗鬼も生じる。


 不思議に思うのが、中国の技術や品質は、今や日本より格段に劣っていることもないはずなのに、なぜこういう所謂品質不良がたびたび流出し、頻繁にみられるのかということだ。こういった看板でも、発注、デザイン、作成、納品と受領、設置、など様々な人や会社を経ているのが普通だと思うのだが、なぜこれらの過程で有識者に見てもらったりして、チェックされないのだろうか。もしかして発注先の面子を潰さないように、なかなか指摘しがたいような商流が多いのだろうか、と想像したりもする。

【写真】2017年10月
【文章】2018年6月


埠頭ってどこから来た言葉なんだろう

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 中国の開封市で見た看板。『码头』は簡体字で、日本で使われる漢字に書きかえると『碼頭』になる。

 日本語訳は『みなと』と書かれているのだが、日本語には『埠頭』という言葉があるので、これが一番近しい訳かも知れないと思ったりもする。

 ただし『みなと』でも間違いではないし、これを指摘したいわけではなく、表現が面白いと思ったわけでもない。なぜ中国語の『碼頭』が、日本語では『埠頭』になっているのか、興味深く思ったのだ。

 碼という漢字は日本では一般的とは言えないが、距離の単位であるヤードを漢字で書く際に使ったりする。実際、ヤードで変換しても出てくる。昔は瑪瑙を碼瑙と書いたこともあったらしい。考えてみれば瑪瑙も石だから、碼の漢字を使うほうがふさわしいような気がするが、これは余談としておかないと話が飛んで行ってしまう。とりあえず日本で使っていない字だから他の字を当てた、というわけではなさそうだ。

 そもそも『碼頭』と『埠頭』とである程度発音が似ているのなら、後から字を当てたというのもわからなくはないが、中国での碼の読みは馬と同じマーなので、音も全く似ていない。

 昔は中国でも埠頭と呼んでいたのが日本に伝わり、その後中国では碼頭に変わったのだろうか。それとも日本では元々埠(ふ)と呼んでいたものがあって、それが中国からやってきた碼頭という単語や字と混じって埠頭という言葉ができた、ということであろうか。

 調べてみても、考えてみても、どうもわからない。昔の漢詩や文献などに出てくる文言をすぐに調べられれば良いのだろうと思うが、今のところ誰もが手軽にできる状態ではない。現代より後は、あらゆるデータがデジタルで蓄積され、検索できるようになってくるのだろうけれど、これまでの人類の歴史の積み重ねとも言えるアナログ時代のデータ蓄積や整理も、もっと着目されて良いような気がしてきた。

【写真】2017年10月
【文章】2018年2月

肝っ玉の小さい方は入らないでください

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 別にお化け屋敷や絶叫マシンがあるわけではない。台湾の南投県の紹興酒の博物館にて。

 文法は合っているし、英語と比べても内容が間違っているわけでもなかった。しかしこういった丁寧な文章のわりに、肝っ玉の小さいという部分だけは、なんだか口語的表現だ。こういった辞書にも載っていないニュアンスというのは難しいのだと気付かされる。

 ちなみに、注意しているのは、お酒を酔ったときにどうなるかを疑似体験できるような展示で、確かに若干目が回りそうにはなるかも知れない。

 でも一番気になったのは、最後の読点の位置だ。普通に日本語入力をして、こんな風に真ん中に読点を打つことはできるのだろうか。

【写真】2011年12月
【文章】2018年2月

コスレスって何やねん

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 中華圏で見かけたコスレス・ビスケット。ロッテのコアラのマーチのパクリであろうことは一目瞭然である。パッケージの形もお馴染みの六角柱だ。しかし、なぜコスレスという名称なのか、そしてなぜそれがカタカナで書かれているのか、さっぱりわからない。

 パッケージの形を変えて、コアラの図柄にさえしなければ、パクリとの誹りを受けるほどでもないだろうに、と思って良く見てみると、パッケージに書かれている図柄はコアラっぽいが、製品一つ一つに書かれているのは、コアラではなくて熊のようだ。パクるならパクるでもっと精巧にすれば良いものを、この杜撰さはもはや笑いを提供するためかと思えるくらいだ。

 まぁ意匠や商標を参考にすることについては、どこまでが許され、どこまでが許されないかを判断するのは難しいし、私がここで是非を論じるつもりはない。法律上とモラル上では異なることもあるだろう。ただ、中国だけでなく、日本でもどこでも同じことだが、安易な真似では本来の実力はつかないし、オリジナルを越えるのも難しいのだろうとは思う。一時的に利益があがっても、すぐに撤退してしまうだけならともかく、市場を潰してしまった過去の事例も多々ある。そのことは、日本の大手企業も身に染みていることであるのだから。

【写真】2013年12月
【文章】2017年12月
  
プロフィール
管理人:坂木
ただ行けるところまで行ってみたい。何もなくても構わない。何もないことを見に行く。そんな性癖を勝手に最果(さいはて)志向と名付けた。
職業は会社員。休みのたびにあてもなくフラリ旅に出てしまう。



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